名称にもあるように家族の事を信じた上で託し、託された側は柔軟性が高い様子で財産が取り扱えるようになるのが家族信託です。
こうした家族信託を要するのは、家族が前もって認知症に対する対策をしておきたいと考えている時や成年後見制度を選択肢に入れたくない時、親が居住を目的にした不動産を有しているものの預貯金がそう多くなく、将来は施設の利用を考えている時などです。
家族信託を利用すると様々な安心感が得られますが、中でも頼もしいのは財産を有している方の健康状態を心配する事なく財産の管理が可能になる事です。
認知症により意思能力を有してないと判断された時は、家族でも定期預金の契約を解約する事はできないものの、家族信託があれば意思能力に関係無く解約可能になるため、家族が生活に要する費用を捻出せずに済みます。
公正証書で作成することでトラブルを回避できる
家族信託は、私文書で契約書を作成してしまうと、契約書の原本を紛失した時には資産の承継ができなくなるという大きなリスクがあります。
契約内容に対して、親族間でさまざまなトラブルが起きることを未然に防ぐためにも、家族信託は司法書士に依頼し、公正証書で作成しておくのがおすすめです。
家族信託の契約について、法的効力を否定する人が現れたとしても、公正証書での契約を無効にすることは難しくなります。
公証人は、家族信託の内容について、きちんと理解をしているか納得ができているかを契約する当事者に確認しており、公証役場では公正証書の「原本」を長期にわたり保管します。
また、公正証書で作成した家族信託は、万が一契約した当事者が「正本」を紛失したとしても再発行も可能です。